ウランバートルからダランザルガドへ From Ulaanbaatar to Dalanzadgad
ウランバートルから南南西へ、直線距離にして520kmの所にあるダランザルガドは西から延びてきたアルタイ山脈の東の端に位置する都市です。2008年7月16日の午後、ウランバートルを出発して南に進みます。その日の夜はひどい雨になり、 ウランバートルから190kmほどの所にあるバヤンブラグ Bayanbulag のツーリストキャンプに宿泊しました。翌日は遊牧民のゲルで道を聞きながらちょっと回り道をしまして、奇岩が連なるバガ・ラウリンの岩 Baga Gazryn Chuluu やいつ出来たか わからない城砦を訪れました。このあたりまで来ると放牧されているのはラクダが多くなります。モンゴルのラクダは中東と違ってコブは二つあります。
バヤンブラグ・ツーリストキャンプ Bayanbulag Tourist Camp |
昼食の準備で お世話になった遊牧民のゲル。太陽光発電パネルがあります。 |
ウランバートル近くの放牧は、 山羊、羊、牛、馬が主体ですが、南に下がってきて乾燥地帯に来るとラクダの放牧が目立ってきます。茶色いラクダが周りの風景となじんでしまっているのが不思議です。 |
バガ・ガズリン・チュルー バガ・ガズリンの岩 海底の堆積物が隆起し、その後浸食されてこのような奇岩が出来たのでしょうか。この近くの岩には 小さな穴が開いており、その中から湧いている水で目を洗うとあらゆる眼病に効くと言います。 |
この日は初めてテントで野営をしました。砂漠の中での野営はもちろん初体験ですので一抹の不安はありましたが、静寂の中での一夜は熟睡でき、素晴らしい日の出とともに目覚めることが出来ました。
野営地の夜明け。5時39分、地平線から日が昇ります。あたりは赤く染まっていきます。 |
いつの時代のものかわかりませんが、堆積岩の薄い板を積み重ねて建設された城砦はかつてこの地で栄えた文化を思い起こさせます。 |
ダランザルガドは人口 18,700人(2010年データ)の小さな街です。特に何の特徴も無く、街中の公園に立っていた革命時の英雄、ゴビ出身の青年同盟の女性、T. ボルの像と、モンゴル相撲の英雄の像が印象的でした。
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アルタイ山脈とゴビ砂漠へ To Altain Montains and Gobi Desert
ダランザルガドから西へ向かい、アルタイ山脈とゴビ砂漠を通って5日間をかけて調査をしながらバヤンホンゴルまで行きました。おおよその行程は下の地図のとおりです。
砂漠の中を西に進み、まず最初に入ったのはアルタイ山脈の東端のズーン・サイハン山脈(Zuun Saykhan Nuruu)で、ヨリーン・アム(Yoliin Am)渓谷に沿って登りました。ここは自然公園になっており、標高2,200m にある開けた谷は 氷河から流れ出た冷たい谷水で潤され、緑が多い谷です。入り口のあたりはヤクが放牧されていてのどかな風景ですが、奥へ進んでいくと次第に谷の幅は狭まり、両側は切り立ってきます。
ズーン・サイハン山脈を南側へ降り西へ進みます。バヤンダライ(Bayandalay)と言う小さな集落を通り過ぎ、ゾーロンジイン山脈(Zoolongiyn Nuruu)へ入る手前でキャンプとなります。周囲にはゲルも見かけず、人っ子一人いない場所でしたが 放牧されているヤギが夕日の中、群れになってどこかへ戻っていきました。
翌日は再び北へ向かってゾーロンジイン山脈を越えます。山の麓は砂漠地帯で、わずかな草は生えていますが荒涼としています。そんな中、ラクダ、馬、羊の放牧が行われていました。
砂漠とは言え、草や灌木が所々に生えていますが、右の写真の山の手前は完全に砂だけ。 | |
遙か彼方にラクダの放牧が見えます。近づいてみると子供が乗って群れの監視をしています。 | |
馬の放牧も見られます。羊が集められて搾乳作業です。子供もお手伝い。 |
砂漠の中を通り、ボグドを(Bogd)を通り過ぎたところで再び野営をします。翌日はキャンプ地点のすぐ南にあるバガ・ボグディン山脈(Baga Bogdyn Nuruu)へ登ります。この山脈の最高峰は3,590m ですが、標高2,000m位まで車で登りました。 遊牧民に道を聞きながら、道の無い谷を横切ったりしてかなりの難行でした。
この山塊で調査を終えた後、砂漠の中を北西に進みます。
山から離れるにつれて、少しずつ草原の様相を示し、ターツィン・ツァガーン湖(Taayn Tsagaan nuur)の横を通ります。湖と言ってもこの写真のようにほとんど水は無いような状態です。かつてはもっと水があったのかもしれませんが、
恐らく近年のモンゴル高原の干ばつで水位が低下したのではないかと思われます。それでも、このあたりになると水があるせいか、集落が見られます。その中でも比較的大きいのがバルーンバヤン・ウラーン()Baruunbayan-Ulaan)です。
あちこちで子供達が遊んでいる様子は、一昔前の日本の田舎を思い出させます。
さらに西に進むとボグド(Bogd)に到着します。前日に通過した同じ名前のボグドと直線距離で100kmほどしか離れていないのでややこしいです。こちらのボグドは結構大きい集落です。ここは砂漠ではなくなり、トゥユン川(Tuyn gol)
が流れている草原地帯です。集落のすぐ横、川の畔で野営をしました。民家に近いと言うこともあって、放牧の牛や馬も近くまで来るなど、とてものどかな雰囲気でした。ここで2泊して南にある山脈に調査に入りました。
トゥイン川 Tuyn gol のほとりでにキャンプサイト。地平線に沈む雄大な夕日が望めました。 |
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この遊牧民はログハウスを建てて居住し、その横に畑を作ってAlliu altaicum等を栽培していました。種子は山で採集してきたとのことでした。 半遊牧半農耕の始まりを見る思いでした。 |
調査をしたイフ・ボグディン山脈(Ikh Bogdyn Nuruu)はボグドの南西に広がり、アルタイ山脈の北の端になります。最高峰は標高4,000m ほどのテルグーン・ボグド山(Tergunn Bogd Uul)で、その裾の谷を標高2,000mまで登りました。
裾野は高原風で気持ちが良いのですが、谷に入ると大きな石がゴロゴロしていて車が上るのは大変です。 |
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谷底は広い場所もあり、遊牧民が登ってきています。空いたミネラルウォーターのペットボトルをもらいに来た女の子がかわいかったです。 |
ボグドからはトゥイン川が流れる平原を北に進み、この地域では一番大きな町、バヤンホンゴル(Bayanhongor)へ向かいました。途中、天然塩を採集している場所があり、 かつてこの高地が海の底だったことがよくわかりました。
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ゴビ・アルタイ東部地域の植物 Wild plants in Eastern Govi-Altayn Region
この地域は降水量が極端に少ない砂漠と標高2,000mを越える乾燥した山岳地帯、それに比較的緑が多い草原地帯からなっています。このような特色を持った地域なので、植物相も非常に多様です。降雨量の多い温帯地域に住む我々としては 非常に興味ある植物を見ることが出来ました。
ネギの仲間 Allium altaicum
我々の調査の一番の対象であったこのネギ属植物は標高の高い、ガレ場のような所に自生しています。アルタイ山脈の東の端に当たるこの地域では多数見ることが出来ました。何も無理をしてこんな所に生える必要は無いと思うような場所に 群生していたのが印象に残りました。いずれも標高が2,000mを越えるような場所です。
草原を彩る花 Beautiful flowers in the prairie
私達が訪れた7月は一斉に花開く季節でした。山の中腹に広がる平坦地、砂漠から続く草原には色とりどりの花が群生し、まさにお花畑状態でした。
Dracocephalum foetidum の群落です。花は小さいのですが、一面に咲いていると美しいです。 |
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Papaver nudicaule シベリアヒナゲシの群生です。園芸品種“アイスランド・ポピー”はこの植物から改良されました。 モンゴルの他の地域でも実負けましたが、ここでの群落は大きく、植物体も立派でした。 |
Clematis tangutica クレマチスの仲間は北半球に多く分布しています。これらが園芸品種となったのですがその多くの花は白や紫で、 黄色の品種は少ないです。この種の血が入っているのでしょうか。 |
名称不詳 |
バイカモ(梅花藻)の仲間。日本では滋賀県の醒ヶ井や、福井県越前市(旧武生市)の治左川に自生しており、学名Ranunculus nipponicus からわかるように 日本固有種です。清流でしか育つことが出来ない水生植物で、花だけが水の上に出てきます。ボグドでのキャンプ地を流れていたトゥイン川の中で見つけましたが、学名はわかりません。 |
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